プレスリリース(2010年)

IDCフロンティアのアジアン・フロンティア 実証実験で外気空調の効果を確認
空調消費電力削減効果は最大4割弱、廃熱の農業活用の有効性も確認

2010年03月29日

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株式会社IDCフロンティア(代表取締役社長:真藤 豊、本社:東京都新宿区、以下IDCフロンティア)のアジアン・フロンティア*1は、日本で初めて商用データセンター(以下DC)に大規模に外気空調を採用した環境対応型次世代データセンターです。

この度、外気空調システムの効果とDCから排出される廃熱の農業活用の可能性について実証実験を行い、外気空調を使用しない運用方法に比べ最大4割弱の空調消費電力の削減効果が測定されました。これは1,000ラック規模のDCで外気空調を行った場合、金額換算で4千万円強/年の空調消費電力の削減が実現できることになります。また、廃熱に関しては、冬季の温室栽培の暖房として活用が可能であることが確認されました。

IDCフロンティアが行った実証実験は、大規模な商用DCで通常の利用状況に限りなく近い環境で実施した日本で初めての実験で、冷たい外気を直接DC内に取り入れる外気空調システムにより空調消費電力の削減が可能であること、また、外気空調による影響として懸念されていた、結露や空気質悪化、稼働中のサーバーへの悪影響も観測されず、アジアン・フロンティアの建設様式GreenMall®*2が実用性の高い構造であることが証明されました。

また、同時に実施したサーバーより排出される廃熱を利用した温室栽培実験では、従来冬季に必要とされていた暖房の代替エネルギーとして廃熱が有効であることが確認され、アジアン・フロンティアが省エネのみならず、ITと農業の融合の可能性を予見させるエコでグリーンなDCであることが認められました。実証実験の概要は以下のとおりです。

アジアン・フロンティア外観(左)と、サーバー棟と廃熱を引き込んだ温室栽培実験棟および野菜の育成状況

実験期間:2009年11月〜2010年2月
実験の目的:
 1.外気空調の冷却効果の測定
 2.外気空調システムによる空調消費電力の削減効果測定
 3.外気空調によるサーバー室への悪影響有無の確認
 4.廃熱活用の可能性の確認
測定効果:外気空調を使用しない運用方法に比べ、最大4割弱の削減を測定。
実証実験から得られた知見:
 1.外気空調は従来型の強制冷却システム同様冷却効果が認められる
 2.外気空調の採用、または外気空調と従来型空調システムとを組合せることで、従来型の
  空調システムにおける省エネルギー化の限界を補完し、また、より大きな効果が期待
  できる
 3.外気空調に起因するサーバー室内の結露や空気質悪化、サーバーへの悪影響は認め
  られない
 4.廃熱の農業利用の有効性が確認され、エネルギー活用の可能性が拓かれた

なお、本実証実験は、平成21年度の経済産業省情報分野における公募事業「データセンターの高信頼化に向けた技術開発・実証事業」のひとつ「外気冷却型データセンターの高信頼化に向けた実証事業」によるものです。

IDCフロンティアはインターネットデータセンターサービスの提供を通じてお客様ビジネスの安心・安全の確保に努めてまいりました。本実験の成果を踏まえ、外気空調と従来型空調システムの効果的活用、および、より効果的で実効性のある空調コンセプトや設備開発を行うことで、環境配慮と競争力のあるサービスの実現を図り、お客様ビジネスの発展に貢献したいと考えております。

以上


*1:アジアン・フロンティアとは
福岡県北九州市の広大な敷地内に建設されたデータセンターコンプレックス。IDCフロンティア独自の空調最適化ソリューション「GreenMall®」を採用し、クラウド基盤の提供など、高集積サーバーの最適運用において高い省エネルギー効果を実現している。また、需要に応じて1棟ごとに建設していくモジュール方式のため常に最新鋭の技術を取り入れることができる、次世代型のデータセンター。

第1期建設計画の敷地イメージ(左)と最大12棟建設時の敷地イメージ

*2:GreenMall®とは
熱循環効率の改善や空調効率の最適化を追求し、空調電力使用やCO2排出量の削減を実現するとともに、クラウド基盤の提供を見据えブレードサーバーなどの高集積サーバーの運用に最適な環境を実現した建設様式。その特長は下記の3点に集約される。商用でサービス提供を行っている大規模データセンターに外気空調を採用した事例としては日本初の施設である。
【GreenMall®構造の特徴】
(1)上げ床高、天井高を十分に確保したことによる空調動力の削減
(2)外気を取り入れ廃熱を室外に排出する外気空調
(3)ホットアイル閉込め方式を採用し冷気と暖気を徹底的に分離することによる空調の効率化

<会社概要>
社名: 株式会社IDCフロンティア(英文社名 IDC Frontier Inc.)
設立: 2009年2月2日
代表者: 代表取締役社長 真藤豊
事業内容: 届出電気通信事業者
データセンター事業、ホスティング事業、IPネットワーク事業、コンサルティング、システム構築・運営、その他
ホームページ: http://www.idcf.jp

IDCフロンティアは、日本のビジネスシーンの発展と活性化を支える情報技術基盤を提供しています。長年の経験で培った高信頼データセンターを全国9ヶ所で運用しており、SaaS/PaaS/HaaSに代表される高付加価値サービスの開発と提供に取り組み、ビジネスユーザーのクラウドコンピューティングやオープンプラットフォームの利活用を推進します。