プレスリリース(2017年)

「白河データセンター」に大型棟を増設、ビッグデータ処理基盤の強化と外販用途に

Yahoo! JAPANのマルチビッグデータ利活用および高性能コンピューティングなどクラウド基盤を強化

2017年02月27日

ヤフー株式会社(以下Yahoo! JAPAN)とYahoo! JAPANグループである株式会社IDCフロンティア(以下IDCF)は、福島県白河市の環境対応型大規模データセンター「白河データセンター」に新しく5号棟を建設します。建設規模は1棟約1,400ラック規模で、3月1日着工、2018年3月末の竣工を予定しています。

「白河データセンター」は、Yahoo! JAPANグループで保有する拠点としては東日本地域最大であり、Yahoo! JAPAN専用棟およびクラウドサービスやハウジングサービスなどの外販向け棟で構成されています。需要の変化に迅速かつ柔軟に対応するため、需要に応じて棟の建設を行うモジュール方式を採用し、将来は8棟までの増設が可能です。

また、Yahoo! JAPANでは、福島県より本拠点地域内の約21,300平方メートルの近隣用地を2016年11月に新たに購入し、8号棟以降の増設にも備えます。これにより、拠点全体の敷地面積合計は約67,600平方メートルとなります。

新棟となる5号棟は、Yahoo! JAPANと、IDCFのクラウドサービスおよび外販での利用を予定しています。今後見込まれるデータの格納や処理量の増大、およびクラウドの利用拡大に伴い、Yahoo! JAPANが保有するマルチビッグデータを活用するための処理基盤強化や、IDCFのディープラーニング向けGPUコンピューティングなど、高性能なクラウド基盤の増強を目的としています。

白河データセンター5号棟完成予想図


Yahoo! JAPANは、メディア・コマース・決済などにおいて国内トップクラスのユーザーを抱えるサービスを多数提供しており、その裏側でさまざまな種類のビッグデータが発生しています。このような「マルチビッグデータ」を保持している企業は、世界的にも稀有な存在であり、近年、ますますデータの重要性が高まる中、国内外のデータサイエンティストや企業より、注目を集めています。今後もIDCF等の協力を得て、「マルチビッグデータ」利活用の土台となるデータインフラの整備、強化を進めてまいります。

IDCFは、データセンター事業を基盤としたクラウド事業の拡大を推進しており、クラウドでデータを処理するだけでなく、「データ集積地」(データも集積するセンター)構想のもと、データ活用のプラットフォーム整備も推し進めています。今後も、Yahoo! JAPANと共にグループの事業を支える根幹であるデータセンターの増強を継続し、お客さまの高品質で安定したインフラ基盤を提供してまいります。

名称 白河データセンター
場所 福島県白河市
工期 5号棟:2017年3月1日着工~2018年3月末竣工(予定)

■既存棟
4号棟:2016年5月着工~2016年12月
3号棟:2015年10月着工~2016年3月
2号棟:2012年10月着工~2013年9月(2014年6月稼働)
1号棟:2011年9月着工~2012年9月(管理棟含む)
建築面積 5号棟:約3,200平方メートル
敷地面積 約67,600平方メートル(拠点全体)
延床面積 約30,200平方メートル
(1~5号棟および管理棟などの施設を含む拠点合計)

■各棟の内訳
5号棟:約11,200平方メートル
4号棟:約2,300平方メートル
3号棟:約1,900平方メートル
1~2号棟:各棟 約5,900平方メートル
ラック数 約3,320ラック(1~5号棟の拠点合計)

■各棟の内訳
5号棟:約1,400ラック
4号棟:約420ラック(約70ラック×6棟)
3号棟:約300ラック(約50ラック×6棟)
1~2号棟:各棟 約600ラック
建物構造 鉄骨造
規模 5号棟:地上4階
3~4号棟:地上1階
1~2号棟:地上4階
床荷重 5号棟:1,200kg/平方メートル
3~4号棟:1,500kg/平方メートル
1~2号棟:1,000kg/平方メートル
実効電力 8kVA/ラック
受電能力 25メガボルトアンペア
電気事業者 東北電力
空調方式 5号棟:直接外気空調+水冷空調システム
3~4号棟:間接外気空調+空冷空調システム
1~2号棟:直接外気空調+水冷空調システム
PUE 設計値 約1.2
レイテンシ 東京-白河データセンター間 3.5ミリ秒前後
用途 Yahoo! JAPAN各サービス、クラウドサービス、コロケーションサービス

白河データセンター全8棟の完成予想図(右側が5~8号棟)


以上


【参考:白河データセンター概要】
「白河データセンター」は、広大な敷地により随時の拡張が容易な地方型データセンターの特長と、郊外型データセンターと同等のネットワークレスポンスを併せ持つデータセンターです。ネットワークの伝送路を直線距離に極力近づける最短経路で設計し、中継ノードも可能な限り少なくすることにより、東京−白河間のレイテンシ(*1)は3.5ミリ秒前後と東京近郊に位置するデータセンターと同等の応答速度で、東京-大阪間の約1/3、北海道・九州では約1/4、沖縄では約1/10と、物理的な距離に比例しない高速なネットワーク環境を提供します。

外販においては、東京・大阪に集中するシステムの地理的分散や電力供給会社の分散により、事業の継続や災害対策に有効で、拡張余力をシステム選定の条件とした企業の大規模需要にも応えます。

5号棟では白河の冷涼な気候を生かし、サーバーから出る排熱を冷やすために、建屋への直接外気導入と水冷空調を組み合わせたシステムを採用しています。空気の循環が1層で完結するシンプルな設計と建築一体型の空調システムとすることで、年間のPUE(*2)は設計値で約1.2となる高い冷却効率と、建築コストおよび空調電力の抑制を見込んでいます。


*1 レイテンシとは拠点間の通信の往復時間で単位はミリ秒(msec)で表されます。一般的にはネットワーク回線で接続された拠点間の物理的な距離に比例し、東京-大阪間は10ミリ秒前後、東京-北海道・九州間では15ミリ秒前後、東京-沖縄間35ミリ秒前後と言われています(自社調べ)。

*2 PUE(Power Usage Effectiveness)は、データセンターのエネルギー効率を示す指標のひとつで、空調やIT機器などデータセンター全体の消費電力を、サーバーなどのIT機器の消費電力で割って算出します。また、国内のデータセンターの平均PUEは1.74と言われています(日本データセンター協会調べ)。

<本件に関する報道機関からの問い合わせ先>
■IDCフロンティア 広報グループ
メールアドレス:pr@idcf.jp