ハイパースケールデータセンターで最新テクノロジーの裏側に迫る
GPU/AI データセンター
見学ツアーレポート
2024.04.17
IDCフロンティアでは、AIサービスの企画・検討をしている企業や、AI活用の研究を行っている組織・機関・アカデミックを対象とした「AI開発推進プログラム」を2023年11月にスタートしました。
2024年2月21日にはそのプログラムの1つである「GPU/AI データセンター見学ツアー」を開催しましたので、ツアーの概要と見学の様子をご紹介します。
見学ツアーについて
「GPU/AI データセンター見学ツアー」は、ディープラーニングやAIでサービス開発に取り組む企業や、AI技術を用いて新規事業を検討する企業の部門、AIに関わる研究機関や大学・大学院・高専等の教育機関などに所属する事業企画担当やエンジニアを対象としたツアーとして企画しました。
通常、データセンターは一般の立ち入りが許可されない施設ですが、「AI」をテーマに、それらに携わる方々と共に、実際に見ていただくことで最新テクノロジーの裏側に迫ることが本ツアーの目的です。 また、ツアー後には懇親会も実施し、「AI」をはじめとしたテクノロジーの議論を参加者同士で交わして交流を深めていただきました。
最新のGPU/AI データセンター
データセンター見学ツアーは、東京都内にあるIDCフロンティアの「東京府中データセンター」で行われました。
IDCフロンティアでは、国内に7カ所のデータセンターを構えており、この「東京府中データセンター」は、受電容量50メガワット、約4,000ラックが収容可能な都内屈指の大規模データセンターです。
ツアーには、数多くの応募の中から選ばれた約20名の方にご参加いただきました。 見学に先立ち、データセンターの施設概要のレクチャーをデータセンターサービス担当の菅野からご説明いたしました。
いよいよデータセンターの見学に出発
レクチャー後はデータセンター内の見学です。
まずは、データセンターの安定稼働を支える電気・空調設備のフロアからスタートし、電力供給会社から66,000Vの特別高圧で受電する巨大な変圧器を前にして、参加者の方々は普段見たことのない設備に興味津々です。
「東京府中データセンター」では50メガワットの受電容量があり、25メガワットの変圧器2台がA系とB系に分かれ、計4台で冗長化されています。
次は、冷却水を作り出すターボ冷凍機です。
「東京府中データセンター」では空調に水冷方式を採用しており、空調に必要な冷水は屋外にあるチラーと呼ばれる冷却⽔循環装置と、このターボ冷凍機で作り出しています。
巨大な配管を通して各フロアの空調設備との間を冷水が循環しています。
最新鋭のサーバールームへ
続いては、2024年1月から新たに提供を開始した、出来上がったばかりの「ハウジングサービス」のフロアに移動しました。
ちなみに「東京府中データセンター」では、ラック単位でご利用できる「ハウジングサービス」と、サーバールーム単位でご利用できる「Data Hallサービス」があります。
ここでは、標準で1ラックあたり7kVAの電力が供給でき、冷気と暖気を分離するキャッピングと壁吹き出し方式の空調により、サーバーからの排熱を冷却しています。
続いて、冷気が吹き出す壁面の裏側にも潜入です。 裏側には水冷空調機が設置されており、チラーやターボ冷凍機で作られた冷水は、屋内配管を通してこの水冷空調機に供給され、サーバーから排気される暖気を冷却してサーバールーム側に供給しています。
万一の電力トラブルに備える重要設備
続いて、サーバールームに隣接して設置されているUPS(無停電電源装置)の見学です。
「東京府中データセンター」では、電力会社から複数系統で受電し、万一の商用電力停電時にも連続して電力供給ができるよう、大型のGTG(自家発電設備)も十分な台数が設置されています。
商用電力の供給にトラブルがあった場合は、発電機による電力供給に切り替わるのですが、発電機の起動から安定した電力が供給できるようになるまでには数分の時間が必要です。
その間、バッテリーを備えたこのUPSが代わりにサーバーに電力を供給します。
電力供給が止まってしまう停電に加え、瞬間的に電力供給が途絶える瞬停や、電圧が降下する瞬低などでも、このUPSがあることで、サーバーに安定した電力を供給し続けることができます。
GPU/AI データセンターの心臓部に潜入
いよいよツアーのハイライトとなるGPU/AI データセンターの心臓部の見学です。1ラック当たり標準で15kVA、最大20kVAの電力供給により、GPUやHPCサーバーの複数台設置が可能な高発熱・高集積対応の「高負荷ハウジングサービス」のサーバールームに入室します。
まずはラックの前面から、奥側に見える水冷の冷却装置をご説明。従来のホットアイル/コールドアイルのキャッピングによる冷却方法ではなく、ラック本体に空調機を設置することで高い排熱処理能力を発揮できます。
また、ラックの背面を対向配置にした上で囲い込むモール構成をとることで、複数ラックの排気をモール内でミキシングすることを可能としています。
これにより、空調機1台に万一不具合が生じた場合でも、周囲の空調機が故障機からの高温排気をモール全体で冷却し安定した環境を提供します。
続いて、ラックの背面にあるリアドア型空調機の排気側、モールの中に入ります。
すでにいくつものGPUサーバーが稼働しており、圧倒されるような大風量を体感していただきました。
写真では分かりにくいですが風に煽られた髪の毛も物凄いことになってます。
互いの情報交換も兼ねた懇親タイム
見学ツアーの後は、ご参加の皆さまとの懇親会です。 短い時間ではありましたが、軽食を交えながら、AIへの取り組みやデータセンター見学の感想など、参加者同士やツアーのスタッフとの交流を楽しんでいただきました。
本来ならば、データセンターの建物をバックにご参加の方々と記念撮影し、最後にご紹介したかったのですが、ツアー当日はあいにくの冷たい雨… 止む無く、屋内に設置されている、一台で6,000kVAの発電能力を誇るガスタービンエンジン搭載の自家発電設備をバックに集合写真を撮らせていただきました。
その代わりと言ってはなんですが、前日にスタッフと一緒にロケハンをした際の写真も一緒にご覧ください!